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日食

空

—JST様子—面積比—光の量 F—空の明るさ(昼 = 1)—太陽—
F = 10
光の量 F(周辺減光を入れた太陽の残り)同じ量の対数(10⁻⁴·⁵〜1)皆既横軸の時刻は日本時間
時刻を少し動かす

押すと観測地が移る · ドラッグで動かす
皆既帯中心線観測地

選んだ地点はブラウザに保存

—
—
部分食の始め C1
—
食の最大
—
部分食の終わり C4
—
食分(最大)
—
面積比(最大)
—
皆既帯から
—

日付種類(世界)ここで食分最大高度

投影 Equal Earth灰 過去茶 未来枠付きの年 観測地で欠けて見える回
選んだ回—
種類—
系列の中の番号—
γ・食分—
中心の継続時間—
ΔT の不確かさ—
観測地から—

動作原理と式

データ

日食の計算は、NASA の五千年正典[1]のベッセル要素から行います。正典は −1999〜+3000 年(紀元前 2000 年〜西暦 3000 年)の 11,898 件の日食を収めたもので、太陽の位置は VSOP87、月の位置は ELP-2000/82 で計算されています[1][2]。

要素は、全件を 1 つにまとめた CSV で公開されています[2]。1 行に、目録の項目と、ベッセル要素の多項式の係数が並びます。

  • 目録の項目: 日付、最大食の時刻(力学時 TD)、ΔT、朔望月の番号、サロス番号、型、γ、食分、最大食の地点、経路幅、中心の継続時間
  • γ: 最大食の瞬間の、影の円錐の軸と地心の距離。地球の赤道半径を単位とし、軸が地心の北を通れば正[1][3]
  • 要素の多項式: 最大食に最も近い TD の正時 t0 からの時間 t(時間)の多項式。t0 ± 3 時間の範囲で使える[4]
a(t)=a0+a1t+a2t2+a3t3−3≤t≤3

x・y は 3 次まで、d・μ・l1・l2 は 2 次まで(a3=0)です。時間微分も、この多項式から求めます。

型日食正典の件数
P部分日食4,200
A金環日食3,956
T皆既日食3,173
H金環皆既日食(混成。経路の途中で皆既と金環が入れ替わる)569

件数は正典によります[1]。型の 2 文字目は、m が系列の中央、n・s が北限・南限のない中心食、+・− が非中心食、2・3 が皆既で始まる・金環で始まる混成食、b・e が系列の最初・最後を表します[3]。

読み込みと暦

  • ビルドのときに CSV を 100 年ごとと、サロス系列ごとのファイルに分ける。ページは、要るファイルを初めて要るときに読む
  • 正典では μ2 がすべて 0、多項式の範囲がすべて ±3 時間なので、この 2 つは送らない[2]
  • 暦は、正典と同じく 1582 年 10 月 15 日より前をユリウス暦とし、年を天文学的な数え方(0 年が紀元前 1 年)で表す[1]。暦と JD の換算は Meeus の方法[5]

正典のデータは、謝辞 “Eclipse Predictions by Fred Espenak (NASA's GSFC)” を添えれば自由に複製してよいとされています[2]。地図の陸地は、パブリックドメインの Natural Earth の 1:110m と 1:50m の陸地です[6]。

観測地の地名は、日本の市の位置(市役所)を国土数値情報の市町村役場等データ[7]から、市の名前と読みを全国地方公共団体コード[8]から、世界の主要都市を Natural Earth の populated places[6]から作りました。

ベッセル要素と基準面

ベッセル要素は、地心を通って月の影の軸に垂直な面(基準面)の上で、影を表す 8 つの量です[9]。長さの単位は地球の赤道半径です。

x,y
影の軸が基準面を通る点。x は東、y は北が正
d,μ
影の軸の赤緯と、暦表時角(ephemeris hour angle)
l1,l2
半影・本影の円錐の、基準面での半径。l2 が負なら本影の頂点は基準面の向こうにあり、皆既になる[10]
f1,f2
半影・本影の円錐が影の軸となす角

地球と基準面

地球に固定した座標(X がグリニッジ子午線、Y が東経 90°、Z が北極の向き)で、基準面の東・北・太陽の向きの単位ベクトル 𝐢・𝐣・𝐤 は次のとおりです[10]。G は影の軸のグリニッジ時角です。

𝐢=(sin⁡G,cos⁡G,0)𝐣=(−sin⁡dcos⁡G,sin⁡dsin⁡G,cos⁡d)𝐤=(cos⁡dcos⁡G,−cos⁡dsin⁡G,sin⁡d)G=μ−1.002738×15″/s×ΔT

NASA の μ は、UT1 を TT とみなして求めた時角です。そのため、ΔT の間に地球が自転する角を引いて G にします[10]。ΔT が入るのはここだけです[11]。

観測地

観測地の測地緯度・経度・標高から地心の座標を出し[5]、基準面へ写して (ξ,η,ζ) にします[11][12]。楕円体は WGS84 です。

φ
測地緯度。北が正
λ
経度。東が正
h
標高。楕円体からの高さ
f,ae
地球の扁平率と赤道半径
H
観測地での影の軸の時角
tan⁡β=(1−f)tan⁡φρsin⁡φ′=(1−f)sin⁡β+haesin⁡φρcos⁡φ′=cos⁡β+haecos⁡φH=G+λξ=ρcos⁡φ′sin⁡Hη=ρsin⁡φ′cos⁡d−ρcos⁡φ′cos⁡Hsin⁡dζ=ρsin⁡φ′sin⁡d+ρcos⁡φ′cos⁡Hcos⁡d

ζ は太陽の向きへの高さで、地表の点ではおよそ太陽の高度の正弦です。

地方食

観測地での食の経過は、時刻 t の要素から観測地と影の関係を求め、反復で解きます。方法は古典的なもので[11][12]、観測地の動きの式は satkit の形です[10]。

  1. 観測地緯度・経度・標高から地心の座標
  2. 時刻 t の要素多項式から
  3. 基準面の (ξ,η,ζ)時角 H で回す
  4. 影との差u,v,a,b,L1′,L2′
  5. 最大食と接触反復で t を詰める
u,v
観測地から見た影の軸の位置(基準面の上)
a,b
u・v の時間微分
′
時間 t(時間)による微分。μ′・d′ は rad/時
L1′,L2′
観測地の高さ ζ での半影・本影の半径
m
観測地と影の軸の距離
n
影が観測地に対して動く速さ
ξ′=μ′(ζcos⁡d−ηsin⁡d)η′=μ′ξsin⁡d−ζd′u=x−ξv=y−ηa=x′−ξ′b=y′−η′n=a2+b2m=u2+v2L1′=l1−ζtan⁡f1L2′=l2−ζtan⁡f2

観測地の高さでの影の半径の式は Altmann の式 (7) です[12]。

最大食と接触

最大食は、観測地が影の軸に最も近づく時刻です。t0 から始め、次の τ を足すことを繰り返します[10][11]。打ち切りは、τ が 10−9 時間より小さくなるか、50 回に達したときです。

τ=−ua+vbn2

接触は、観測地が影の円の上に来る時刻です。最大食の時刻から始め、次の τ を足すことを繰り返します[11]。打ち切りは、τ が 10−9 時間より小さくなるか、30 回に達したときです。根号の中が負になれば、その接触はありません。

τ=−ua+vbn2±Ln1−(ub−vanL)2
  • C1・C4(部分食の始め・終わり): L=L1′。C1 は −、C4 は +
  • C2・C3(皆既・金環の始め・終わり): L=|L2′|。C2 は −、C3 は +
  • 最大食のとき m<|L2′| なら中心食で、L2′<0 なら皆既、L2′>0 なら金環[11]。継続時間は C3 − C2
  • 太陽の中心の高度が −0.30°(−0.00524 rad)より上なら、地平線より上とみなす。NASA の JSEX と同じ[11]

見える日食の一覧は、選んだ日食の 10 年前から 30 年後までの日食で地方食を求め、C1〜C4 の間に太陽が地平線より上に出るものを並べたものです。

食分と面積比

食分 M は、太陽の直径のうち月に覆われた割合です。皆既食・金環食・混成食の食分は、月と太陽の見かけの直径の比で表します[1][3]。面積比 O は、太陽の円盤の面積のうち月に覆われた割合です[4]。

食分の式[11]から分かるように、観測地の高さでは、半影の半径 L1′ が見かけの太陽と月の半径の和に、本影の半径 L2′ が差に当たります。そこで、見かけの太陽の半径 R太陽・月の半径 R月・中心の間隔 m を基準面の単位で表し、面積比は 2 つの円の重なりとして求めます[11]。

R太陽=L1′+L2′2R月=L1′−L2′2M=L1′−mL1′+L2′M=L1′−L2′L1′+L2′(中心食)O=R太陽2(ω1−sin⁡2ω12)+R月2(ω2−sin⁡2ω22)πR太陽2cos⁡ω1=m2+R太陽2−R月22mR太陽cos⁡ω2=m2+R月2−R太陽22mR月

見かけの大きさと向き

基準面の単位を角度に直すには、月の見かけの半径を使います。月の中心は影の軸の上にあり、基準面からの高さ z月 は l1 の式[10]を解いたものです。k は半影の月の半径比 0.2724880 です[1]。

z月=l1tan⁡f1−ksin⁡f1d月=u2+v2+(z月−ζ)2月の見かけの半径=arcsin⁡kd月

太陽の高度と方位(北から東へ)は、影の軸の向きを太陽の向きとみなし、赤緯 d と時角 H から求めます[11]。望遠の眺めは、太陽面の上で天頂の向きを上にして描きます。

sin⁡h太陽=sin⁡φsin⁡d+cos⁡φcos⁡dcos⁡Htan⁡A太陽=−sin⁡Hcos⁡dsin⁡dcos⁡φ−cos⁡dcos⁡Hsin⁡φ

経路

地図の皆既帯(金環帯)は、中心線と、本影の北限・南限で描きます。どちらも satkit と同じ写像です。satkit は、この写像が NASA の経路表を表の丸め(0.1′、最大 185 m)の範囲で再現することを示しています[10]。

中心線

中心線は影の軸が地表に当たる点で、基準面では (ξ,η)=(x,y) です。この点を、太陽の側の地表へ持ち上げます。Z を 1/(1−f) 倍に伸ばすと楕円体が単位球になるので、高さ z の二次方程式の大きい方の根をとります[10]。根がなければ、影の軸は地球に当たりません。

𝐏=ξ𝐢+η𝐣+z𝐤⟨𝐏,𝐏⟩=1⟨𝐩,𝐪⟩=pXqX+pYqY+pZqZ(1−f)2𝐐=ξ𝐢+η𝐣z=−⟨𝐐,𝐤⟩+⟨𝐐,𝐤⟩2−⟨𝐤,𝐤⟩(⟨𝐐,𝐐⟩−1)⟨𝐤,𝐤⟩

南北の限界

限界は、影の円のうち、相対速度 (a,b) に垂直な半径の端が地表に描く線です[10]。求める点の ζ で本影の半径と地表の速さが変わるので、中心線の点から始めて「限界の点 → その点の ζ → 計算し直す」を 10 回繰り返します。satkit では 8 回で数 cm に収まります[10]。

ξ=x−s|L2′|bnη=y+s|L2′|an

s=+1 が影の進む向きの左(ふつうは北限)、−1 が右です。|L2′| を使うので、皆既帯も金環帯も同じ式で描けます[10]。

月の半径比

正典は、半影の接触と食分に k=0.2724880、本影の計算(皆既・金環・混成)のすべてに k=0.272281 を使っています[1][13]。

  • 小さい方は平均の最小半径で、月の縁の深い谷に近い。IAU の平均の値 0.2725076 では、一部の金環食・混成食を皆既食と誤る。1986 年 10 月 3 日の食は 3 秒の皆既とされたが、実際は月の縁の谷から光が漏れる金環(beaded annular)だった[1]
  • 1968〜1980 年の航海暦局のように金環食に大きい k を使うと、混成食で不連続が出る[1]。正典は本影の計算のすべてに小さい k を使うので、この不連続は出ない

このツールは正典の l1・l2 をそのまま使うので、型・継続時間・経路の幅はこの使い分けのとおりになります。

ΔT と時刻

要素の時刻は力学時 TD です。表示する時刻は UT1 で[10]、日本時間は UT1 に 9 時間を足したものです。

UT1=TD−ΔT

ΔT には、正典が日食ごとに使った値をそのまま使います[2]。この値は、Morrison & Stephenson (2004) の ΔT をもとにした Espenak & Meeus の区間多項式に、月の永年加速の補正 c を加えたものです[14]。−500 年より前と 2150 年より後は次の放物線で、その間は 13 の区間に分けた多項式です[14]。

Y
年の小数
n˙
月の永年加速(″/世紀²)
Y=年+月−0.512ΔT=−20+32(Y−1820100)2sc=−0.91072(n˙+26)(Y−1955100)2c=−0.000012932(Y−1955)2s

もとの ΔT は n˙=−26″/世紀² を前提にしていて、正典の月の暦 ELP-2000/82 は n˙=−25.858″/世紀² なので、c を足します。1955〜2005 年の値は月の暦によらないので、足しません[1][14]。

ΔT の不確かさ

5 千年の端では、経路の位置の不確かさの大部分は ΔT の不確かさです[1]。ΔT は時角にだけ入るので、ΔT が変わると、経路は形を保ったまま東西に回ります。サロスの枠に出す ΔT の標準誤差 σ は、NASA の表と式によります[15]。

  • −1000〜+1200 年: Morrison & Stephenson の式
  • −1000 年より前と 2005 年より後: Huber のブラウン運動とドリフトの模型。w は年数で、−1000 年より前は −500−Y、2005 年より後は Y−2005
  • 1200〜1900 年: 下の表の点の間を補間する
σ=0.8(Y−1820100)2sσ=365.25w0.058w3(1+w2500)1000sΔλ=0.004178°×σs

経度の幅 Δλ は、σ の間に地球が自転する角です[10]。−2000 年の 3,732 s は、経度で ±15.6° に当たります[15]。

年σ
−20003,732 s
−15001,900 s
−1000636 s
−500431 s
0265 s
+500139 s
+100054 s
+120031 s
+1300〜1600約 20 s
+17005 s
+18001 s
+19000.1 s
+2500612 s
+30001,885 s

表の値は NASA によります[15]。正典は、σ が 265 s(経度 1.1°)を超える年、つまり +0001 年より前と +2300 年より後では、地図を東西に ±σ の経度だけ回しても標準誤差の内側だとしています[1]。

光の量 F

太陽面は縁ほど暗い(周辺減光)ので、部分食で届く光の量は、欠けずに残った面積だけでなく、残った場所でも変わります。このツールでは、周辺減光で重み付けした太陽面の積分で、残った光の量 F(食のないとき 1)を求めます。空・望遠の眺め・地図・宇宙から見た地球の暗さは、どれもこの F で決めます。

周辺減光は Hestroffer & Magnan のべき乗則のうち、縁で明るさが 0 になる形で、指数 α は波長で変わります。α の式は、1/λ<2.4 µm⁻¹(λ が約 417 nm より長い)の範囲で、±0.02 ほどの精度です[16]。F には 550 nm(α=0.51)を、太陽面の色には赤 610 nm・緑 550 nm・青 465 nm を使います。

r
太陽面の中心からの距離(基準面の単位)
ψ
太陽面の点で、視線と面の法線のなす角
λ
波長(µm)
ϑ(r)
半径 r の円のうち、月に入る弧の半分の角
I(r)I(0)=cosα⁡ψcos⁡ψ=1−(rR太陽)2α=−0.023+0.292λF=1−∫0R太陽I(r)ϑ(r)πrdr∫0R太陽I(r)rdrϑ(r)=arccos⁡r2+m2−R月22rm

ϑ(r) は、円がすっかり月に入れば π、月にかからなければ 0 です。周辺減光がない(α=0)とき、F は 1−O です。太陽の中心が隠れたあとに残る細い三日月は縁の暗い所なので、F は 1−O より小さくなります。

積分は、縁からの深さ 1−r/R太陽 を 10−6〜1 の対数で 96 に刻んだ円環の和で求めます。縁の近くを細かく刻むので、ダイヤモンドリングの細い光も拾えます。

空の明るさ

空の明るさ B は、食のない昼の空を 1 とした値です。昼の明るさ D は、太陽の高度で 0(夜)から 1(昼)まで変わります。

B=FD(部分食)B=10−4(皆既)
  • 部分食: 昼の空に F を掛ける。天頂の明るさは、月に隠された割合が 99.8 % になるまで、その割合の一次関数になる、という観測のまとめ[17]に沿った近似。照度の目安は、食の前の約 100,000 lux が、99 % 隠れて約 1,000 lux、皆既で約 5 lux[18]
  • 皆既: 天頂は昼の約 10−4 で、青い[19][20]。約 10−3 とする資料もある[17]。地平線から高度 10° ほどまでは橙に光り、この色は地平線の全周に出る[18][20]

広角の空は、目の順応を考えて、明るさの対数で塗ります。

太陽とコロナ

望遠の眺めは、F が 2×10−3 より大きい間は減光フィルター越しの太陽面だけを描き、それより暗くなると肉眼の眺めに切り替えます。肉眼の眺めには、コロナ・彩層・紅炎と、月の外に残った光球のぎらつきを描きます。

コロナの明るさ

コロナの動径方向の輝度は、Baumbach (1937) の式です。1905〜1929 年の 10 回の日食の測光を、すべての位置角で平均したものです[21]。

r
太陽の中心からの距離。太陽の半径が単位
I(0)
太陽面の中心の輝度
Ic(r)I(0)=10−6(0.0532r−2.5+1.425r−7+2.565r−17)

輝度は r=1.1 で約 1.3×10−6、r=4 で約 1.8×10−9 と 3 桁近く下がるので、10−9.1〜10−5.1 を対数で表示します。空が明るい間は、コロナを空に埋もれさせて薄くします。

コロナの形

形は写真を使わず、手続き的に合成します。動径の輝度に、位置角ごとの筋(ストリーマ)・細かい放射状の筋・極の羽毛(プルーム)の倍率を掛け、自転軸の向きに扁平にします。扁平は、極の向きの距離を伸ばして測ることで付けます。

r′=r(1+1.6ecos2⁡θ)

θ は太陽の自転軸から測った位置角、e は扁平の強さです。Ludendorff の扁平率(太陽の半径の 2 倍の距離での扁平)は、1991〜2016 年の 15 回の日食の画像で 0.02〜0.29 で、月平均の黒点数と逆に相関します[22]。そこで、e は太陽活動の極小期に大きく(0.30)、極大期に小さく(0.06)します。筋は、極小期ほど少なく、赤道の近くに集めます。

太陽の自転軸の向き

自転軸の位置角 P(天の北から東へ)は Meeus の式です[5]。λ太陽 は太陽の黄経、ε は黄道傾斜角で、どちらも低い精度の式で求めます。Meeus の例 29.a(1992 年 10 月 13 日、P=26.27°)と 0.2° 以内で合います。

P=P1+P2tan⁡P1=−cos⁡λ太陽tan⁡εtan⁡P2=−cos⁡(λ太陽−K)tan⁡7.25°K=73.6667°+1.3958333°×JD−239675836525

彩層と紅炎

彩層は、Hα の光で赤〜ピンクに見える層です[23]。太陽の縁の外の薄い層と、ところどころから立つ紅炎として描きます。月に隠れずに残る所だけが見えるので、主に C2 の直後と C3 の直前に、月の縁に沿って見えます。

残った光球

月の外に残った光球のまわりには、ぎらつきを重ねます。大きさは F の対数で変え、残った光球が細い三日月や点になると、ダイヤモンドリングに見えます。

地図と宇宙から見た地球

地図と地球儀は、地表の各点に届く太陽の光の量で塗ります。点ごとに基準面の (ξ,η,ζ) を求めて F を引き、昼の明るさ D を掛けます。本影の黒、半影のぼかし、昼夜の境が同じ式から出ます。次の表示の式は、このツールで決めたものです。

地図の明るさ=0.16+0.84DF地球儀の明るさ=(D(0.85max⁡(0,cos⁡χ)+0.15)F)1/2.2

χ は、地表に太陽の光が入る角(天頂からの角)です。

早見表

画素ごとに F を積分すると重いので、時刻ごとに早見表を作ります。月と太陽の半径の比を ζ=0.5 の値に固定し、影の軸からの距離を半影の半径で割った m/L1′ の関数として、F を 512 点で持ちます。画素ごとに積分した値との差は 0.01 より小さく、本影の縁は比の違いで数 km ずれえます。

投影

  • 観測地のまわり: 観測地を中心とした正距円筒
  • サロスの重ねた図: 全球を 1 枚に収める正積の Equal Earth[24]
  • サロスの各回の小さな図: 最大食の地点を中心とした正射図法。正典の全球図と同じ図法[25]
  • 宇宙から: 視点からの透視。地球は球として描く(扁平は 0.3 % で、この大きさでは見えない)

宇宙からの視点

  • L1: 地球から 235 地球半径。L1 の DSCOVR は、太陽と地球を結ぶ線から数度外れた軌道を回る[26]。月が地球に重ならないよう、太陽の向きから北へ 8° ずらして見る
  • ひまわり: 静止軌道(6.62 地球半径)の東経 140.7°
  • 月: 影の軸の上、基準面から 60 地球半径の点

サロス周期

1 サロスは 223 朔望月(約 6585.3 日、18 年 11 日 8 時間)で、239 近点月・242 交点月にほぼ等しい長さです。そのため、1 サロスごとに似た日食が続きます。端数の約 8 時間のぶん地球が余計に約 120° 自転するので、経路は 1 回ごとに約 120° 西へずれ、3 サロス(54 年 34 日)でほぼ同じ経度に戻ります[27]。

  • 1 つの系列は 1226〜1550 年続き、69〜87 回の日食からなる。一方の極の近くの部分食で始まり、中心食を経て、反対の極の近くの部分食で終わる[27]
  • 系列の番号は van den Bergh が付けたもの。日食では、昇交点の系列が奇数、降交点の系列が偶数[27]
  • 正典に現れる系列の番号は −13〜190[2]

サロスの図は、系列の全員の中心線を Equal Earth の地図に重ね、選んだ回は皆既帯(金環帯)も描きます。

サロス番号と朔望月

朔望月の通し番号 N(NASA の Luna Num。2000 年 1 月 6 日の新月が 0)[3]が 1 増えるごとに、サロス番号 S は 223 を法として 38 ずつ進みます。剰余を −13〜209 に寄せると、正典の 11,898 件すべての番号と一致します。このツールで導き、確かめた式です。

S≡112+38N(mod223)−13≤S≤209

例えば 2017 年 8 月 21 日の食は N=218 で、112+38×218=8396≡145 です。表示する番号は正典の値です。

このツールで決めたこと

次の値と方法は、文献に基づかず、このツールで選んだものです。

  • 月の縁の凹凸を入れない。滑らかな月なので、ベイリー・ビーズは出ない。凹凸は球から ±3″(約 ±6 km)ずれ、補正しないと接触の時刻と継続時間は 2〜3 秒ずれうる[28]。限界の位置にも、月の縁による 1〜2 km ほどの不確かさが残る[13]
  • 大気差を入れない。NASA の予報も、断りがなければ入れていない[4]
  • 月の形の中心と重心のずれ(約 0.5″)は、正典と同じく補正しない[1]
  • 要素の多項式を、時刻の帯と接触の計算では有効範囲 ±3 時間の外、±4 時間まで使う。正典の CSV を地球を球とした概算で集計すると、P1 か P4 が ±3 時間の外に出る食が 23 % ある。NASA の JSEX も同じ要素を ±4 時間の範囲として持つ[11]。延ばした区間の誤差は評価していない。地図の経路は ±3 時間の範囲だけ描く
  • CSV の julian_date は小数 3 桁(±43 秒)なので使わず、暦の日付と最大食の TD から JD を出し直す
  • 反復の打ち切り: 最大食は τ が 10−9 時間より小さくなるまで(最大 50 回)、接触は最大 30 回、限界は 10 回
  • 食の途中で日が昇って沈む地点(極地など)のために、C1〜C4 の間を 24 に刻んで、太陽が地平線より上に出るかを確かめる
  • ΔT の標準誤差: 1200〜1900 年は NASA の表の点[15]の間を対数で補間し、1900〜2005 年は 0.1 s とする。未来の Huber の模型は 2005 年から数える
  • F の積分の刻み(縁からの深さ 10−6〜1 を対数で 96 の円環)と、使う波長(F は 550 nm、太陽面の色は 610・550・465 nm)
  • 地図と地球儀の早見表(月と太陽の半径の比を ζ=0.5 の値に固定し、512 点)
  • 昼の明るさ D: 空と地図は太陽の高度 −6° で 0、+3° で 1(空はその間を高度の正弦について線形に、地図はなめらかな 3 次の曲線で)。地球儀は cos⁡χ が −0.03 で 0、0.05 で 1
  • 地図と地球儀の明るさの式(夜の明るさ 0.16、サロスの小さな図は 0.22、平方根と 1/2.2 乗、入射角の重み 0.85 と 0.15)、地球儀の陸・海・氷の色と、縁の大気の霞
  • 空の表示: 明るさ 10−4.6〜1 を対数で塗ること、F が 1 % を切ると皆既の空の色へ移すこと、皆既の空の色、地平線の橙の輪の形(高度 9° で 1/e)、遠景の山
  • 望遠の眺め: 減光フィルター越しにする境目(F=2×10−3)、ぎらつきの大きさと明るさ
  • 様子の表示: C2・C3 の前後 15 秒をダイヤモンドリング(金環では金環の直前・直後)、部分食の最大の前後 30 秒を食の最大とする
  • コロナの形: 扁平の強さ(極小期 0.30〜極大期 0.06)と伸ばし方(1.6cos2⁡θ)、筋の数(極小期 4 本〜極大期 8 本)・広がり・幅・強さ、細かい放射状の筋(10 組)、極の羽毛、日食ごとに決まった種の擬似乱数
  • コロナの表示: 10−9.1〜10−5.1 を対数で 0〜1 に当てること(1.35 乗)、空の明るさに応じて薄くすること
  • 彩層と紅炎の厚さ・形・数・色
  • 太陽活動の位相: 周期 11 年、2019 年 12 月を極小とし、極小から約 4 年で極大、その後約 7 年で極小に戻る形。過去と未来の実際の周期とは合わない
  • 宇宙からの視点: L1 は 235 地球半径で太陽の向きから北へ 8°、ひまわりは静止軌道 6.62 地球半径の東経 140.7°、月は影の軸の上 60 地球半径
  • サロス番号の式 S≡112+38N(223 を法として)と、剰余を −13〜209 に寄せること。正典の全件で確かめた
  • 皆既帯までの距離: 観測地のまわりを平面とみなし、半径 6371 km の球で測る
  • 経路の刻み: 観測地のまわりの地図は 30 秒、サロスの図は 2 分

出典

  1. 正典の太陽と月の暦(VSOP87・ELP-2000/82)、型の定義と件数、γ と食分の定義、日付の暦(ユリウス暦とグレゴリオ暦、年の数え方)、月の半径比の使い分け、ΔT の補正 c、ΔT の不確かさと経度の幅、月の形の中心を補正しないことF. Espenak and J. Meeus, Five Millennium Canon of Solar Eclipses: −1999 to +3000 (2000 BCE to 3000 CE), NASA/TP-2006-214141, NASA Goddard Space Flight Center, 2006(本文 5MCSE-Text.pdf の 1.2・1.3・1.4・1.5・1.6・2.7・3.1 節)
  2. 要素の CSV(目録の項目・ΔT・係数)、日食の件数、太陽と月の暦、謝辞F. Espenak, “Five Millennium Catalog of Solar Eclipses: −1999 to +3000,” NASA GSFC; eclipse_besselian_from_mysqldump2.csv(2026-10-16 取得)。謝辞は “Eclipse Predictions by Fred Espenak (NASA's GSFC)”
  3. γ・皆既食・金環食・混成食の食分・朔望月の番号(Luna Num)・型の 2 文字目の定義F. Espenak, “Key to Catalog of Solar Eclipse Saros Series,” NASA GSFC
  4. 要素の多項式の形と有効範囲、面積比の定義、予報に大気差を入れないことF. Espenak, “Explanation of Solar Eclipse Predictions,” NASA GSFC
  5. 暦と JD の換算(7 章)、観測地の地心の座標(11 章)、太陽の自転軸の位置角(29 章、例 29.a)J. Meeus, Astronomical Algorithms, 2nd ed., Willmann-Bell, 1998
  6. 陸地の輪郭(1:110m・1:50m Physical Vectors の Land)と世界の主要都市(populated places)。パブリックドメインNatural Earth, “Terms of Use”
  7. 日本の市の位置(市役所。CC BY 4.0、加工して使用)国土交通省, “国土数値情報(市町村役場等及び公的集会施設データ),” 2022 年版
  8. 日本の市の名前と読み(公共データ利用規約 第 1.0 版、加工して使用)総務省, “全国地方公共団体コード”
  9. ベッセル要素の 8 つの量の定義F. Espenak, “Explanation of Besselian Elements for Solar Eclipses,” EclipseWise; F. Espenak, “Besselian Elements of Solar Eclipses,” NASA GSFC
  10. 基準面の向きと時角、ΔT の扱い、l2 の符号、観測地の動き、月の中心の高さ(l1 の式)、中心線を楕円体へ持ち上げる方法、南北の限界の反復、NASA の経路表との一致、ΔT を時角に直す係数satkit, “Eclipse: Path of Totality”(チュートリアル。satkit のライセンスは MIT または Apache-2.0)
  11. ΔT が時角にだけ入ること、観測地の基準面の座標、最大食と接触の反復の式、中心食の判定、食分と面積比の式、太陽の高度と方位、地平線とみなす高度 −0.30°、要素を ±4 時間の範囲で持つことC. O'Byrne and F. Espenak, JavaScript Solar Eclipse Explorer, NASA GSFC, 2007(program.js、SE2001.js)。方法の照合に使った
  12. 観測地の基準面の座標、観測地の高さでの影の半径(式 (7))M. Altmann, “Helligkeitsverlauf bei Sonnenfinsternissen (II),” Mitteilungen Online, URANIA Wiesbaden
  13. 半影・本影の月の半径比、月の縁による限界の位置の不確かさ(1〜2 km)F. Espenak, “Besselian Elements - Total Solar Eclipse of 2024 April 08,” Solar Eclipse Search Engine, NASA GSFC
  14. Espenak & Meeus の ΔT の区間多項式と補正 c(もとの ΔT は L. Morrison and F. R. Stephenson, J. Hist. Astron., vol. 35, pp. 327–336, 2004)F. Espenak, “Polynomial Expressions for Delta T (ΔT),” NASA GSFC
  15. ΔT の標準誤差の表と式(Morrison & Stephenson の式、Huber のブラウン運動とドリフトの模型)F. Espenak, “Uncertainty in Delta T (ΔT),” NASA GSFC
  16. 周辺減光のべき乗則(式 (1)。縁で 0 になる形は u=1)と、指数 α の波長による変わり方(式 (5))D. Hestroffer and C. Magnan, “Wavelength dependency of the Solar limb darkening,” Astron. Astrophys., vol. 333, pp. 338–342, 1998
  17. 天頂の明るさが隠された割合の一次関数になること(99.8 % まで)、皆既の天頂が昼の約 10−3 倍とする、これまでの観測のまとめJ. Birriel, B. Schwegman and I. Hargesheimer, “Measuring Zenith Sky Brightness and Color Changes during the April 8, 2024 Total Solar Eclipse Using Filtered Sky Quality Meters,” JAAVSO, vol. 54, pp. 66–69, 2026
  18. 食の間の照度の目安、皆既の地平線の全周の色R. Fienberg, “How Dark Does It Get During a Total Solar Eclipse?,” American Astronomical Society, Solar Eclipse Across America
  19. 皆既の天頂が昼より約 4 桁暗く、青いこと(2 次散乱の模型)J. A. Shaw, G. E. Shaw, B. Scherrer, L. Eshelman and S. Turcotte, “Solar eclipse sky brightness and color,” Applied Optics, vol. 65, no. 9, pp. C66–C74, 2026, doi:10.1364/AO.582020
  20. 皆既のとき地平線の全周に高度約 10° まで出る橙の輪と、昼より約 4 桁暗く、わずかに青い天頂(2017 年の日食での観測と 2 次散乱の模型)J. A. Shaw, G. E. Shaw, B. Scherrer, L. Eshelman and S. Turcotte, “Brightness and color of the sky during the 2017 solar eclipse,” Proc. SPIE, vol. 12214(Light in Nature IX), 1221403, 2022, doi:10.1117/12.2623628
  21. コロナの動径方向の輝度(Baumbach 1937 の式。この資料の式 (5.5) の引用による)N. L. Reginald, 学位論文(University of Delaware)の 5 章 “Modified Cram's theory and its dependence on various parameters,” NASA GSFC, Chapter5.pdf
  22. Ludendorff の扁平率の測定値(1991〜2016 年)と、月平均の黒点数と逆に相関することR. Priyatikanto, “Shape parameters of the solar corona from 1991 to 2016,” Res. Astron. Astrophys., vol. 16, no. 12, 181, 2016, doi:10.1088/1674-4527/16/12/181(arXiv:1607.07928)
  23. 彩層の色(Wikipedia)Chromosphere
  24. Equal Earth の投影B. Šavrič, T. Patterson and B. Jenny, “The Equal Earth map projection,” Int. J. Geogr. Inf. Sci., vol. 33, no. 3, pp. 454–465, 2019, doi:10.1080/13658816.2018.1504949; EPSG 1078
  25. 正典の全球図が正射図法であることF. Espenak, “Key to Solar Eclipse Maps,” NASA GSFC
  26. L1 の DSCOVR の軌道が、太陽と地球を結ぶ線から数度外れることE. Wright, “2017 Solar Eclipse from L1,” NASA Scientific Visualization Studio, 4467
  27. サロス周期の長さと経路のずれ、系列の長さと始まり・終わり、系列の番号の付け方F. Espenak, “Eclipses and the Saros,” NASA GSFC
  28. 月の縁の凹凸の大きさと、補正しないときの接触の時刻のずれF. Espenak, “The Lunar Limb Profile and Eclipse Predictions,” NASA GSFC

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