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ギター音響モデル

指板

弦の変位

コード

ルート
種類
次によく続くコード
コードを押さえると出ます
押さえ方
—

この枠を開いている間は、ボタンに書いたキーでも選べます。↑↓ キーで押さえ方、Esc キーでリリース

1 / – 小節
テンポ テンポ

%

音量 音量

dB

弾くもの
x 弾く位置

mm

φ 弾く位置の傾き

°

A 強さ

mm

θ 弾く向き

°

曲のビブラート
幅 ビブラートの幅

セント

速さ ビブラートの速さ

Hz

フレットノイズ

調弦
張力の決め方
設定する弦
材質
d 外径

mm

T 張力

N

弦開放材質外径張力f1ずれ

表板の木材
h 表板の厚さ

mm

V 胴の容積

L

D サウンドホールの直径

mm

第 1 共振 f−
ヘルムホルツ fh
第 2 共振 f+
表板だけ fp0
表板の等価質量 mp
高いモードの間隔 Δf
CH1 駒のアドミタンス 10 dB/divCH2 音圧 ÷ 力 10 dB/divX LOG 50 Hz – 5 kHz

部屋
r 聴く位置

m

残響時間 T60(500 Hz)
残響時間 T60(4 kHz)
臨界距離 rc
残響音 ÷ 直接音

音の波形

CH1 音圧 /divH /div

計算結果

最後に弾いた音

第 1 部分音 f1
振動する長さ Lv
線密度 μ
波の速さ c
特性インピーダンス Z0
非調和性係数 β
10 倍音のずれ
減衰時間 T60(垂直)
減衰時間 T60(平行)
胴へ逃げる損失
弾く位置 Lv/xp
駒の力の初期値

動作原理と式

音の流れ

弾いた弦の振動が駒を通じて胴を揺らし、胴が空気へ音を出します。

  1. 撥弦三角形に引いて離す
  2. 弦曲げ剛性のある弦のモード
  3. 駒弦の力を胴へ伝える
  4. 胴表板・サウンドホール・多数のモード
  5. 放射1 m 先の音圧
  6. 残響部屋の響き

弦

弦は両端で支えた、曲げ剛性のある弦として扱います[1]。両端は、押さえたフレットと駒のサドルです。押さえたフレットからナット側は指で止まり、振動しません。

T
張力
μ
線密度
L
振動する長さ
EI
曲げ剛性
fn
第 n モードの周波数

曲げ剛性 EI があると、高いモードほど周波数が整数倍より少し高くなります。これが非調和性です。

巻弦の線密度は芯線と巻線の質量の和で、曲げ剛性は芯線で決まるとします。ナイロン弦の線密度と張力は Woodhouse の論文[2][3]、スチール弦の線密度と張力は D'Addario の張力表(EJ16)[4]によります。

fn=n2LTμ1+βn2β=π2EITL2I=πdc464μ=π4(ρcdc2+φρw(d2−dc2))

弦の損失

弦が自分で失うエネルギーは、損失係数 ηn で表します。振幅は e−ηnωnt/2 で減ります。ηn は次の 4 つの和です。

  • 空気の粘性による損失(Valette)[5]
  • 低い周波数で増える損失
  • 張力の側の内部摩擦 ηF
  • 曲げの側の粘弾性 ηB

ナイロン弦とナイロン芯の巻弦の係数は、Woodhouse の測定に合わせました[2][3]。高い倍音ほど曲げの損失で早く消えます。

ηn=ηa+dπηaρafnμfn+ηXωn+TηF+EIkn2ηBT+EIkn2kn=nπL

駒

弦は駒で胴につながっています。駒のアドミタンス Y(ω) は、力に対する速度です。

Y があると、弦のモードの複素角周波数が下の式の根に移ります[6]。実部が多い周波数、つまり胴が動きやすい周波数ほど、エネルギーが胴へ逃げて早く減衰し、そのぶん大きな音を出します。

表板に垂直な振動と平行な振動で Y が違うため、2 つの偏波は別の速さで減衰します。

ω=ωn+iηnωn2+iTLY(ω)η胴≈2TRe⁡YωnL

撥弦

弦を弾く点で三角形に引いて離すとし、指や爪の触れる幅 w で角を丸めます。駒にかかる力 F(t) は、各モードの傾きの和です[2][3]。

an=2AL2n2π2xp(L−xp)sin⁡nπxpLsinc⁡nπw2LF(t)=∑nTnπL(−1)n+1ane−σntcos⁡ωnt

胴の低い周波数

胴の低い周波数は、表板の第 1 モードとサウンドホールの空気が、胴の空気のばねでつながった 2 自由度の振動系です(Christensen・Vistisen)[7]。表板の第 1 モードは、ピストンとして扱います。

mp
表板の第 1 モードの等価質量
A
ピストンの面積
S
サウンドホールの面積
V
胴の空気の容積

2 つが結合して、ヘルムホルツ共振 fh の下と上に 2 つの共振 f−・f+ ができます。音圧は、表板とサウンドホールの体積速度の和で決まります。

mpx¨p+Rpx˙p+(kp+ρc2VA2)xp+ρc2VASxh=Fmhx¨h+Rhx˙h+ρc2V(S2xh+ASxp)=0fh=c2πSVℓeffp=ρ4πRddt(Ax˙p+Sx˙h)

胴の高い周波数

それより高い周波数には、乱数で多数のモードを置きます。Woodhouse の「統計的なギター」にならい[2][3]、表板の曲げ剛性 D と面密度 ρh から求めたモードの間隔と平均のアドミタンスに合わせます。

  • モードの有効質量: χ2 分布の乱数
  • 振動の向きと放射の強さ: 乱数
  • 放射の効率: 表板の一致周波数に近づくほど上がる

乱数の種は決まっているので、同じ設定なら同じ胴になります。

Δf=2A表板ρh/D⟨Re⁡Y⟩∝18Dρh

フレットノイズ

フレットノイズは、押さえる位置を変えるときに指が巻弦の上をすべる音です(Pakarinen ら)[8]。巻線を 1 本越えるたびに短い雑音が出るとします。

  1. 巻線を越える頻度 fcすべる速さ v ÷ 巻線の太さ pw
  2. 共振器と飽和倍音を作る
  3. 弦の縦振動の共振を足す
  4. 駒の力に加える
fc(t)=v(t)pw

ビブラート

フレットのあるギターでは、押さえた指で弦の張力を少し変えて、音の高さを揺らします。指板の図で弦を押したまま動かすと、その量に応じて音の高さが変わります。

  • 上下に動かす: 押し上げ。弦を横へ δ だけずらす。図の弦の間隔と同じ縮尺
  • 左右に動かす: 弦の向きに揺らす。弦をナット側へ u だけ引く。指先が転がるぶん、弦は手の動きの 1/10 だけ動くとする

押し上げると弦全体が伸び、張力は弦全体でそろうとします(Grimes)[12]。向きによらず音は高くなります。弦の向きの動きでは、指先が弦をつかんだまま、振動する側だけが伸び縮みします。ナット側へ引けば高く、駒の側へ押せば低くなります。

EA
芯線の縦のヤング率 × 断面積
xf
ナットから押さえたフレットまで
Lv
振動する長さ

張力に対して EA が大きいスチール弦は、わずかな動きで大きく音が変わります。ナイロン弦は押し上げてもあまり変わらないので、クラシックでは弦の向きに揺らします。

ΔT=EA(δ22L(1xf+1Lv)+uLv)f′f=T+ΔTTLvLv2+δ2

音は、弦のすべてのモードの周波数に同じ比 f′/f を掛けて作ります。曲の演奏では、押さえた旋律の音のうち 0.45 秒以上の音に、弾いてから 0.15 秒後に掛け始めます。揺れ方は弦によって違います。

  • ナイロン弦: 弦の向きに揺らす。元の高さの上下に揺れる
  • スチール弦: 押し上げる。元の高さより高い側だけに揺れる

弾き方と強弱

駒の側の胴の上を押したまま動かすと、横切った弦を、横切った順に弾きます。弾く強さは、動かす速さの平方根に比例させます。図の縮尺で 0.3 m/s のとき、入力の「強さ」になります。

曲の強弱は、MIDI にベロシティがあればそれを使います。ない曲は、次の倍率を掛けて決めます。

  • 拍子: 小節の頭を強く、拍の裏を弱く
  • 声部: 鳴り始めに最も高い音(旋律)と最も低い音(低音)を強く、その間の音(内声)を弱く
  • 長さ: 長い音を少し強く

曲の中央の値を 1 とし、少しの揺らぎを足します。

コードの押さえ方

コードの押さえ方は、調弦とフレットの数から探します。指板の 4 フレットの幅ごとに、弦ごとに「鳴らさない・開放・コードの音のフレット」を組み合わせ、次をすべて満たすものを残します。

  • 鳴らす弦が 4 本以上。鳴らさない弦は太い側に続けて並ぶ
  • 最も低い音が根音
  • コードの音をすべて含む。4 和音などの完全 5 度は省いてよい
  • 指 4 本で押さえられる。足りなければ、人差し指で最も低いフレットをセーハする

残った形には、鳴る弦の多さ、低い位置、狭い幅、ローコードの開放弦を良しとする点を付けます。押さえる位置ごとに最も良い形を 1 つ選び、全体で最も良い形から始めます。

押さえ方を変えると、フレットが変わる弦と鳴らさない弦は指が離れて音が止まります。同じフレットのままの弦は鳴り続けます。

「次によく続くコード」は、調を決めずに、今のコードの働きから選びます。和声の教本とポピュラー音楽によくある進行を目安に、重みを付けました。

  • 長三和音: 主和音 I と見て、IV・V・vi・ii・V7 など
  • 属七: V7 と見て、4 度上の I・i、偽終止の vi
  • 短三和音: vi・ii・i と見て、IV・V7・I など
  • 短七: ii7・vi7 と見て、V7・IM7・IVM7 など
  • sus4: 同じ根音へ解決
  • 減七: 半音上へ解決

今のコードが M7 なら、続くコードも 7 の音を含む形で示します。

曲の演奏中は、鳴っている弦の音からコードを推定して示します。数える弦は、指を離すまでの間で、第 1 部分音の振幅が初めの 1/10 より大きいものです。音名が 3 種類以上あるときだけ、すべての根音と種類に次の点を付け、最も高いもの 1 つを出します。

  • 足す: コードに含まれる音、最も低い音が根音であること
  • 引く: 足りない音(省いてよい 5 度は少し軽く)、コードにない音

残響

部屋の残響時間は Eyring の式で求め[9]、残響音は 16 本の遅延線のフィードバック遅延網で作ります[10]。

V
部屋の容積
S
部屋の表面積
α¯
平均吸音率
m
空気の吸収。ISO 9613-1 の値[11]
A
等価吸音面積
rc
臨界距離。A から求める
r
聴く位置

1 m 先の直接音に対する残響音の大きさは、臨界距離 rc で決まり、聴く位置 r での比は r/rc です。全体の大きさは、直接音と残響音のエネルギーの和が 1 m 先の直接音と同じになるようにそろえます。

T60=0.161V−Sln⁡(1−α¯)+4mVrc=A16πA=−Sln⁡(1−α¯)

計算の範囲と出力

  • 音: 1 m 先の音圧。1 Pa を出力のフルスケールとする
  • 弦のモード: 16 kHz(またはサンプリング周波数の 0.45 倍)まで計算
  • 胴のモード: 6 kHz まで計算

スピーカーから出す音だけはステレオにして、定位を少しずらしています。図の向きは左がヘッド、右が駒で、これに合わせて寄せます。

  • 右へ寄せる: 高い弦、駒に近い弾く位置、高いフレット
  • 左へ寄せる: フレットノイズ。左手のある側
  • 左右へ散らす: 胴の高いモード。表板のあちこちから鳴るように

この定位は聞こえ方の目安で、模型には基づきません。残響も再生の音だけに付けます。計算結果と音の波形は、ステレオにする前の 1 m 先の音圧で、残響を含みません。

最後に弾いた音の値

出典

  1. 硬い弦の周波数N. H. Fletcher, “Normal vibration frequencies of a stiff piano string,” J. Acoust. Soc. Am., vol. 36, no. 1, pp. 203–209, 1964
  2. 撥弦の合成、損失の式と係数、統計的なギター、ナイロン弦の線密度と張力([3] と合わせて)J. Woodhouse, “On the synthesis of guitar plucks,” Acta Acustica united with Acustica, vol. 90, pp. 928–944, 2004
  3. [2] と同じJ. Woodhouse, “Plucked guitar transients: comparison of measurements and synthesis,” Acta Acustica united with Acustica, vol. 90, pp. 945–965, 2004
  4. スチール弦の線密度と張力D'Addario の張力表(EJ16)
  5. 弦の損失、空気の粘性C. Valette, “The mechanics of vibrating strings,” in Mechanics of Musical Instruments, Springer, 1995, pp. 115–183
  6. 駒での結合C. E. Gough, “The theory of string resonances on musical instruments,” Acustica, vol. 49, pp. 124–141, 1981
  7. 表板とヘルムホルツ共振の 2 自由度の模型O. Christensen and B. B. Vistisen, “Simple model for low-frequency guitar function,” J. Acoust. Soc. Am., vol. 68, no. 3, pp. 758–766, 1980
  8. 巻弦の接触音J. Pakarinen, T. Puputti and V. Välimäki, “Virtual slide guitar,” Computer Music Journal, vol. 32, no. 3, pp. 42–54, 2008
  9. 残響時間C. F. Eyring, “Reverberation time in ‘dead’ rooms,” J. Acoust. Soc. Am., vol. 1, no. 2A, pp. 217–241, 1930
  10. 残響J.-M. Jot and A. Chaigne, “Digital delay networks for designing artificial reverberators,” AES 90th Convention, Preprint 3030, 1991
  11. 空気の吸収ISO 9613-1
  12. 押し上げによる張力と音の高さの変化D. R. Grimes, “String theory – the physics of string-bending and other electric guitar techniques,” PLOS ONE, vol. 9, no. 7, e102088, 2014

このツールで決めたこと

次の値は、このツールで選んだ概数です。

  • 木材の値
  • 胴の面積と力木の倍率
  • 平均のアドミタンスを下げる割合
  • 放射の強さ
  • スチール弦の損失係数
  • こすれる音の大きさ
  • 部屋の寸法と吸音率
  • 弦の向きの動きを手の動きの 1/10 とする割合
  • 曲のビブラートを掛ける音と、掛け始める時間
  • なでる速さと弾く強さの対応
  • 曲の強弱の倍率
  • コードの押さえ方に付ける点
  • 次によく続くコードの重み

楽譜の出典

  • シャコンヌ ニ短調 BWV 1004 J. S. バッハ「無伴奏ヴァイオリンのためのパルティータ第 2 番」より

    音符は Mutopia Project の楽譜の MIDI から変換しました。

    • 入力: Hajo Dezelski
    • 底本: Bach-Gesellschaft Edition 1879 Band 27.1
    • Mutopia-2019/05/30-1426

    実音を 1 オクターブ下げてギターの音域に移し、同じ時刻の同じ高さの音を 1 つにまとめています。和音だけが書かれ「arpeggio」と指示された小節(89〜120・201〜208)は、拍ごとに 32 分音符で「低・中・高・中」を 2 回往復する分散和音に展開しました。

    そのうえで、分散和音の弾き方、和音をずらして弾く時刻、音の長さなどを MIDI で手で編集しています。弦とフレットはこのツールの運指で付けています。

    原作のライセンスは クリエイティブ・コモンズ 表示 - 継承 3.0 非移植(CC BY-SA 3.0)です。編集した MIDI(src/tools/guitar/chaconne.mid)と、そこから作った音符と運指のデータ(src/tools/guitar/chaconne.ts)も、同じライセンスで公開します。

    調弦 標準、標準のテンポ 4 分音符 = 60。

  • 前奏曲 ハ長調 BWV 846 J. S. バッハ「平均律クラヴィーア曲集 第 1 巻」より

    原曲(パブリックドメイン)をこのツールで入力し、全音上げてニ長調にし、6 弦を D に下げた調弦で弾けるようにしました。

    調弦 ドロップ D、標準のテンポ 4 分音符 = 66。

  • メヌエット ト長調 BWV Anh. 114 「アンナ・マグダレーナ・バッハのための音楽帳」より。C. ペツォールト作とされる

    旋律は原曲(パブリックドメイン)を 1 オクターブ下げたもので、低音はこのツールで付けた簡単な伴奏です。

    調弦 標準、標準のテンポ 4 分音符 = 112。

  • グリーンスリーブス 16 世紀のイングランドの旋律、パブリックドメイン

    旋律に、このツールで低音と内声を付けました。

    調弦 標準、標準のテンポ 8 分音符 = 150。

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