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カメラレンズ

LENS f FOCUS SAMPLES —PIXELS —

λ 400〜700 nm(印は h・g・F・e・d・C・r 線)

F 486 nmd 588 nmC 656 nm
球面収差 SI
コマ収差 SII
非点収差 SIII
像面湾曲 SIV
歪曲 SV
軸上色収差 CI
倍率色収差 CII
ラグランジュ不変量 H

レンズの種類

f 焦点距離

mm

N 絞り

s 撮影距離

m

ピント合わせ
絞り羽根

上から、距離は対数
0.51251020m遠景(山並み・∞)金星火星天王星月木星土星
φ 方位

°

θ 仰角

°

被写界深度
画角(対角)
過焦点距離 H
撮影倍率 m
実効 F 値 Nw
入射瞳の径 D
周辺光量(隅)
歪曲(隅)
エアリー円盤の径
レンズの全長

レンズデータ

面曲率半径 R間隔 t硝材ndνd有効径

動作原理と式

光線追跡

映像は、センサーの各画素から光線をレンズに通して 3D の被写体に当て、当たった所の明るさを足し合わせて作ります[1]。

  1. センサーの画素各画素の点から光線を出す
  2. 射出瞳の面多数の点へ向ける
  3. レンズの面後ろから 1 面ずつたどる
  4. 物体の側へ出る
  5. 3D の被写体当たった所の明るさを足し合わせる

射出瞳は、絞りを後ろのレンズ越しに見た像です。

各面での計算

各面では、球面との交点を求め、交点でスネルの法則に従って屈折させます[2]。有効径の外や絞りの羽根の外に当たった光線は捨てます(けられ)。

z
面の頂点の位置
c=1/R
面の曲率
s
光線の向き。単位ベクトル
N
面の法線。単位ベクトル
c(x2+y2+z2)−2z=0n′s′=ns+(n′cos⁡θ′−ncos⁡θ)Nn′sin⁡θ′=nsin⁡θ

追跡の結果として現れるもの

次のものは、どれも別々に足したものではなく、この追跡の結果として現れます。

  • ピントのずれ(ボケ)
  • 絞りの形
  • 球面収差・コマ・非点収差・像面湾曲・歪曲・色収差
  • 周辺光量の低下

ガラスの分散と色

ガラスの屈折率は波長 λ で変わります。硝材によって、次のように求めます。

  • カタログの硝材: SCHOTT の Sellmeier の分散式の係数で求める[3]
  • 出典が屈折率 nd とアッベ数 νd だけを示す硝材: 値の近いカタログの硝材 nref の分散の形を借り、nd と νd を合わせた模型の硝材にする
n2(λ)−1=∑i=13Biλ2λ2−Ciνd=nd−1nF−nCn(λ)=nd+k(nref(λ)−nref,d)

光線ごとに 400〜700 nm の波長を 1 つ選び、その波長の屈折率で追跡します。結果は、波長に応じた重みで赤・緑・青に分けて足します。これで、白と黒の境目に色のにじみが出ます。軸上色収差と倍率色収差です。

明るさと周辺光量

画素の明るさ、つまり照度 E は、光線が来る向きの立体角について放射輝度 L を積分したものです。

  • 射出瞳の面に一様に点を置くと、立体角の重みは cos3θ/d2 になる。d はセンサーから射出瞳の面までの距離
  • 受ける面の傾きを掛けると、cos4θ の重みで足すことになる(コサイン 4 乗則)[1][4]
E=∫Lcos⁡θdω=1d2∫Lcos4θdAEE0=1πr′2∫LL0cos4θdA

どの光線が通るかを決めるため、センサーの点ごとに、瞳の面のどこまでを調べればよいかの範囲を前もって実光線で求めておきます。点は、その長方形の中に置きます。

明るさは、中心の点が近軸の射出瞳の径 2r′ で受ける照度で割ります。これで、F 値を変えても中心の明るさがそろいます。カメラの自動露出と同じです。

周辺が暗くなるのは、この重みと、斜めの光束が前後のレンズの縁でけられるためです。

焦点距離とピント

焦点距離

レンズデータのすべての長さを同じ倍率で拡大・縮小して合わせます。形は相似で、収差の量も同じ倍率で変わります。

ピント

レンズ全体をセンサーから前後に動かして合わせます(全群繰り出し)。焦点距離と主点の間隔から、撮影距離にピントが合う物体距離と像距離を求めます。

f
焦点距離
HH′¯
前側・後側の主点の間隔
s
撮影距離。センサーから物体の面までの距離
so,si
ピントが合う物体距離と像距離
1so+1si=1fs=so+HH′¯+sim=−siso

F 値と絞り

F 値は、無限遠のときの入射瞳の径 D で決めます。近づくほど、実際の明るさを表す実効 F 値 Nw が暗くなります[4]。Nw は、軸上の周辺光線の像側の傾き u′ から求めます。

絞り羽根 n 枚の正多角形は、面積が同じ円と等しくなる外接円の半径 Rn にします。開放では、羽根が引っ込んで円になるとしています。

N=fDNw=12|u′|Rn=r2πnsin⁡(2π/n)

AF と MF

ピント合わせでは、映像の枠の点から光線をレンズへ逆にたどって被写体に当て、その距離を撮影距離にします。繰り出すと写る向きが少し変わるので、合わせてからもう 1 度求めます。

  • AF: 向き・焦点距離・レンズを変えるたびに合わせ直す
  • MF: 映像を押したときだけ合わせる

枠の点に写る物体が被写界深度に入っていると、枠を緑にします。

被写界深度

センサーの位置をそのままにして物体の面を前後に動かしたとき、点の像のボケの径 b が許容錯乱円 c に収まる範囲です。近軸の結像で求めます[4]。

b は、射出瞳の径を、像の位置 z′ からセンサー zs までの距離の比で縮めたものです。瞳の倍率を含むので、近い距離や非対称な形のレンズでも使えます。

b=2r′|zs−z′||z′−zXP|≤c

過焦点距離は、無限遠のボケがちょうど c になる撮影距離です[4]。

収差の係数

2 本の近軸光線を各面で追跡し、Welford の式でザイデルの和を求めます[5]。

  • 周辺光線: 軸上の物点から入射瞳の縁へ。高さ y・傾き u
  • 主光線: センサーの隅に写る物点から入射瞳の中心へ。高さ y¯・傾き u¯
Δ
屈折の後と前の差
δn
nF−nC
A=n(u+yc)A¯=n(u¯+y¯c)H=n(u¯y−uy¯)SI=−∑A2yΔ(un)SII=−∑AA¯yΔ(un)SIII=−∑A¯2yΔ(un)SIV=−∑H2cΔ(1n)SV=∑A¯A(SIII,i+SIV,i)CI=∑AyΔ(δnn)CII=∑A¯yΔ(δnn)

波面収差の係数は次のとおりです。計算結果には、d 線の波長を単位にした値を添えています。

W040=SI/8W131=SII/2W222=SIII/2W220=(SIII+SIV)/4W311=SV/2

係数は 3 次の近似なので、広い画角や明るい F 値では、図の実光線の曲線とずれます。

回折

幾何光学の追跡には回折が入りません。そこで、像の点をエアリー円盤に近いガウス分布でずらして、近似的に足しています[6]。エアリー円盤の第 1 暗環の径は 2.44λNw です。絞り込むほど細部が甘くなるのはこのためです。

dAiry=2.44λNwσ≈0.42λNw

収差の図

  • スポットダイアグラム: ピントの面の 3 つの点から入射瞳の格子を通る光線を、F・d・C 線で追跡したセンサーの上の点。3 つの点は中心、対角の 0.7、隅。d 線の重心を中心に描く
  • 球面収差の曲線: 軸上の光線が光軸を横切る位置の、センサーからのずれ
  • 非点収差の曲線: 主光線のそばの子午・球欠の光線が集まる位置の、センサーからのずれ

断面図の光

断面図の光線は、可視光の 400〜700 nm を 20 nm ごとに分けた 16 の波長で追跡し、光として描きます。図の地は、テーマによらず黒です。

  • 色: 波長ごとの色は、CIE 1931 の等色関数(多峰のガウス関数による近似[8])から求めた sRGB の色。どの波長も同じ強さの光(等エネルギーの白)を足すと白になるようにそろえる。sRGB に収まらない単色の色は、輝度を保って白へ寄せる
  • 明るさ: 光束 1 つを、瞳を等しい間隔に分けた 41 本の光線で追跡し、隣り合う 2 本の間を光で埋める。2 本の間を通る光の量は一定(エネルギーの保存)なので、光線が集まる所ほど明るい。画素ごとに足し合わせ、露出 1−e−x で表示する

波長が重なる所は白く、分かれた所だけ色が見えます。拡大図の印は、次の 7 本の輝線の位置です。

輝線波長 (nm)
h404.7
g435.8
F486.1
e546.1
d587.6
C656.3
r706.5

物体の側ではどの波長も同じ光線で、面で屈折するたびに、波長で違う屈折率のために分かれます。レンズ全体の図ではこの差が 1 画素に満たないことが多いので、下にセンサーの付近を拡大した図を置きます。拡大の倍率は縦と横で別々です。「d 線」に切り替えると、d 線だけで追跡し、軸上の光束を CH1、隅への光束を CH2 の色で描きます。

  • 中心の図の印: 波長ごとの近軸のピントの位置(軸上色収差)
  • 隅の図の印: 波長ごとの主光線がセンサーに当たる高さ(倍率色収差)

被写体

  • ジーメンススターの板: 撮影者のセンサーから前へ 0.5・1・2・4・8・16 m の面。板の下の数字が距離
  • 格子の壁: 奥 30 m
  • 色の付いた柱
  • 地面: 0.5 m の市松模様
  • 電飾: 遠・中・手前の 3 本
  • 山並みと町の灯: 無限遠
  • 空の月と惑星: 次の節

物体は一様な明るさと 1 つの向きからの光で照らされているとし、太陽と影は描きません。

空の天体

空には、満月・金星・火星・木星とガリレオ衛星・環のある土星・天王星と ε 環を、無限遠に置いています。見かけの大きさは、赤道半径と地球からの距離で決めます[7]。惑星は、扁平率のぶん縦に縮めています。

地球からの距離は、月は平均の距離です。外側の惑星は地球に最も近づくとき、金星は太陽から最も離れて見えるころ(最大離角)の距離です。

天体距離 (km)見かけの直径方位仰角
月384,40031.1′21°8°
金星1.033 億24.2″−30°12°
火星5,460 万25.7″−8°20°
木星5.885 億50.1″40°14°
土星12.055 億20.6″55°9°
天王星25.806 億4.09″8°17°

土星の見かけの直径は、環を含めると 46.8″ です。

置き場所と見え方

  • 置き場所は実際の空と関係ない。月を緑の柱の上に置き、惑星は互いに離して低い空に並べる
  • 焦点距離を 3000 mm にすると、木星と 4 つの衛星が画面に収まり、月ははみ出す
  • どれも太陽を背にした衝のころの見え方として、影と満ち欠けは描かない。金星は、実際には半月の形に見えるころ
  • 環と衛星は、本体との反射率の比にする[7]
  • 天王星の ε 環は、実際どおり細く(幅 20〜96 km)暗い(反射率 0.018)ため、ほとんど写らない
  • 月の海と火星の模様は、見た目の近似

天体のガイド

表示の設定の「天体のガイド」では、金星・火星・木星・土星・天王星の位置に、月と同じ角半径のオレンジ色の円を重ねます。位置は、その向きから来る主光線をレンズに通して求めます。そのため、歪曲のあるレンズでも像に重なります。

時間帯と天体の明るさ

時間帯は昼・夕暮れ・夜から選べ、空の色と地上の明るさを変えます。

天体の円盤の平均の明るさは、幾何アルベドを太陽からの距離の 2 乗で割った値とします[7]。昼は、日光に照らされた地上の物体と同じ尺度です。夕暮れと夜は、暗い景色に合わせて露出を上げたものとして、天体を地上の物体に比べて明るくしています。

時間帯地上の明るさ天体の明るさ(地上の物体に比べて)
昼1.5 倍同じ尺度
夕暮れ1 倍5 倍
夜0.06 倍約 330 倍
天体幾何アルベド ÷ 太陽からの距離の 2 乗
月0.12
金星0.689÷0.7232
火星0.170÷1.522
木星0.538÷5.202
土星0.499÷9.572
天王星0.488÷19.22

空の光は天体の手前の大気から来るので、天体の明るさに足します。このため、次のように見えます。

  • 昼: 月と金星が見え、木星がうっすら見える程度
  • 夜: 惑星がはっきり見え、月は白く飛ぶ

考えていないもの

  • 面での反射(フレア・ゴースト)
  • コーティング
  • ガラスの吸収
  • 鏡筒による内面反射
  • センサーのカバーガラス

このツールで決めたこと

  • 被写体と天体の配置と色、明るさ、照明
  • 波長から RGB への重み。3 つのガウス関数

出典

各レンズのデータの出典は、レンズデータの枠に示しています。

  1. レンズデータのとおりに光線を追跡して映像を作る方法、射出瞳での光線の置き方、照度の重みC. Kolb, D. Mitchell and P. Hanrahan, “A Realistic Camera Model for Computer Graphics,” Proc. SIGGRAPH ’95, pp. 317–324, 1995
  2. 光線追跡の手順G. H. Spencer and M. V. R. K. Murty, “General ray-tracing procedure,” J. Opt. Soc. Am., vol. 52, no. 6, pp. 672–678, 1962
  3. 硝材の係数SCHOTT Zemax catalog 2017-01-20b(refractiveindex.info のデータベースによる)
  4. 被写界深度・過焦点距離・実効 F 値・コサイン 4 乗則S. F. Ray, Applied Photographic Optics, 3rd ed., Focal Press, 2002
  5. ザイデルの和と波面収差の係数、色収差の和W. T. Welford, Aberrations of Optical Systems, Adam Hilger, 1986, 8 章・10.5 節
  6. エアリー円盤のガウス近似B. Zhang, J. Zerubia and J.-C. Olivo-Marin, “Gaussian approximations of fluorescence microscope point-spread function models,” Appl. Opt., vol. 46, no. 10, pp. 1819–1829, 2007
  7. 天体の半径・距離・扁平率・反射率、衛星の軌道、土星と天王星の環の半径・幅NASA Space Science Data Coordinated Archive, Planetary Fact Sheets(Moon・Venus・Mars・Jupiter・Saturn・Uranus・Jovian Satellite・Saturnian Rings・Uranian Rings)
  8. 断面図の光の色(等色関数の近似)C. Wyman, P.-P. Sloan and P. Shirley, “Simple Analytic Approximations to the CIE XYZ Color Matching Functions,” J. Comput. Graph. Tech., vol. 2, no. 2, pp. 1–11, 2013

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