ピアノ音響モデル
弦の振動(曲げ剛性と周波数で変わる損失を含む硬い弦)、フェルトのハンマーとの衝突、駒でつながった 2〜3 本のユニゾンの弦と響板(多数のモード)を計算して、ピアノの音を作ります。鍵や弦を押すと、その鍵を打ちます。ハンマーの速さ、ピアノの大きさ、調律、響板の厚さを変えると、音と振動がすぐに変わります。部屋の残響を付けて、曲の演奏もできます。
鍵盤と弦
弦の変位を何倍にして描くか。×1 は弦の間隔に対して実際の大きさ(弦の長さは縮め、間隔は広げて描く)。ダンパーが上がっている弦の共鳴は打った弦よりずっと小さいので、×20 で見やすい
ダンパーが上がっている弦が、打った弦から駒を通して揺れ始める様子を描く。描かないときは、打った弦の振動だけを描く(音は変わらない)
振動を何分の 1 の速さで描くか
著作権の切れた曲の電子楽譜から変換したもの。ペダルと声部ごとの強弱はこのツールで付ける
自動は、曲の強弱(楽譜の強弱記号と、このツールで付ける声部ごとの強弱)に合わせて打つ。固定は、すべての音を「打鍵」のベロシティで打つ。演奏中も変えられる
曲の標準の速さに対する割合。演奏中も変えられる
スピーカーへ出す大きさ(0 dB で、1 m 先の音圧 1 Pa をフルスケールにする)
弦に当たる直前のハンマーの速さ。速いほどフェルトが強く押しつぶされて硬くなり、大きく明るい音になる。曲の演奏では、演奏の「ベロシティ」が固定のときに使う
フェルトの硬さ(整音)。硬いほど衝突が短く、高い倍音が強い明るい音になる
踏むとすべてのダンパーが弦から離れ、離した鍵の音も響き続け、ほかの弦も共鳴する。自動では、曲は低音が変わるところで踏みかえ(演奏の記録のペダルがある曲は、記録のとおりに踏む)、鍵盤では踏まない
鍵が底に当たる衝撃が、棚板と枠を通して響板を叩く音(コトンという音)の大きさ。強く打つほど大きい
踏むと鍵盤とハンマーが横にずれ、3 本弦の鍵は 2 本、2 本弦の鍵は 1 本だけを、フェルトの柔らかい所で打つ。打たない弦も駒を通して揺れる
ストレッチは、12 平均律のまま、弦の非調和性で高くなる部分音にオクターブを合わせ、高音を少し高く、低音を少し低くする(調律師による実際の調律に近い)。平均律は、第 1 部分音を計算どおりの 12 平均律の周波数にする
A4 の第 1 部分音の周波数
1 つの鍵の 2〜3 本の弦の、第 1 部分音の高さのばらつきの幅。少しずれていると、うなりと「後に残る音」が生まれる
| 鍵 | 弦長 | 本数 | 外径 | 張力 | B | 調律 |
|---|
スプルース(ドイツトウヒなど)とエゾマツ。軽く硬い木ほど、駒が動きやすく音がよく出る
響板の板の厚さ。厚いほど硬く重くなり、駒が動きにくくなる(音が小さく、長く伸びる)
- 最も低いモード fb1
- モードの間隔 Δf
- 一致周波数 fc
- 平均のアドミタンス
- 面積 A
- 面密度 ρh
響きを付ける部屋。寸法と吸音率から残響時間を求める(再生の音だけに付け、音の波形と計算結果には含めない)
楽器から聴く人までの距離。遠いほど、直接届く音に対して部屋の響きが大きくなる(全体の大きさは 1 m 先の直接音にそろえる)
- 残響時間 T60(500 Hz)
- 残響時間 T60(4 kHz)
- 臨界距離 rc
- 残響音 ÷ 直接音
音の波形
打ってからの時間
スペクトラムの右端の周波数
計算結果
最後に打った鍵
- 第 1 部分音 f1
- 弦長 L
- 張力 T
- 特性インピーダンス Z0
- 非調和性係数 B
- ハンマー
- 接触時間 tc
- 打つ点 x0/L
- 減衰時間 T60(初め)
- 減衰時間 T60(後)
- ダンパーで止まる時間
- 響板のアドミタンス
動作原理と式
音の流れ
ハンマーが弦を打ち、弦の振動が駒を通って響板を揺らし、響板が音を放射します。
- 打鍵ハンマーが弦を打つ
- 弦モードの和
- 駒弦どうしがつながる
- 響板多数のモード
- 放射1 m 先の音圧
- 残響再生の音だけ
弦
弦は、両端で支えた曲げ剛性のある弦として扱います。手前の端はアグラフ、奥の端は駒です。
- 張力
- 線密度
- 振動する長さ
- 曲げ剛性
- 非調和性係数
・・ から第 部分音の周波数が決まります。曲げ剛性 があると、高い部分音ほど整数倍より高くなります[1]。
弦の寸法
鍵ごとの弦の寸法は、次のように決めます[2]。
- 弦の長さ: 高音では 1 オクターブで約 1.92 倍。低音では、ピアノの大きさで決まる上限へ滑らかに縮める
- プレーン弦: 外径を決めて、音程の合う張力を求める
- 低音の巻弦: 芯線と張力を決めて、音程の合う線密度になる巻線の太さを求める
- 曲げ剛性: 芯線で決まるとする
弦の損失
弦が自分で失うエネルギーは、空気の粘性[3]と、張力・曲げの内部損失の和です[4]。内部損失の大きさは、両端を固定したピアノ線の部分音の減衰の実測に合わせます[5]。
ハンマー
ハンマーは質量 の塊です。フェルトは、押しつぶされた量 の累乗で硬くなるばねに、ヒステリシスを足したものです。ヒステリシスがあると、押すときより戻るときの力が小さくなります[6]。
鍵ごとの値
次の値は、Stulov が実測から求めた鍵盤全体の近似式で決めます[7][8]。低音ほど重く柔らかくなります。
- 質量
- 硬さ
- 指数
- ヒステリシスの時定数
ただし、近似式の硬さはハンマー全体の値です。2〜3 本の弦を打つ中音・高音では、弦 1 本あたりのフェルトが硬くなりすぎます。ハンマーの硬さは、打つ弦の太さで大きく変わることも分かっています[9]。
そこで、柳沢・中村が実際のピアノで弦を打って測ったフェルトの圧縮に合うように、鍵ごとに硬さを補正します[10]。測った圧縮は、2 m/s で 0.55〜0.75 mm です。補正の大きさは、中音で約 1/20〜1/60 です。補正したあとの接触時間も、同じ測定に合います。
ところが、この硬さのままでは、実際のピアノの録音[11]より高い部分音が強くなります。mf(2.5 m/s)では、1 kHz より上の部分音が録音より平均で約 10 dB 強く、録音の mf に近いのは約 1.3 m/s で打った音でした。
そこで、低音から中音(A4 まで)は、硬さをさらに 1/10 にしています。こうすると、2.5 m/s の音が録音の mf に、6 m/s の音が録音の ff にほぼ合います。代わりに、圧縮と接触時間は実測から外れます。2 m/s の圧縮は 1.0〜1.2 mm で、実測の約 1.6 倍です。接触時間は実測より 3〜5 割長くなります。
高音では、フェルトが柔らかいと接触時間が弦の周期より長くなり、第 1 部分音まで弱くなって音が小さくなります。そのため、A4 から C7 にかけて硬さを少しずつ元へ戻し、C7 より上は柔らかくしていません。
硬さは鍵ごとに別々には合わせていません。録音に合う硬さを 1 音ずつ求めると、隣り合う音で 30 倍も違う値になり、録音の 1 音ごとの癖を拾ってしまうためです。
打ち方と音色
弦はハンマーが当たってからしばらくほとんど動かず、力はゆっくり立ち上がります。そのため、弱く打つと高い部分音はほとんど出ません。強く打つとフェルトが硬い領域まで押しつぶされ、高い部分音が急に増えます。
速く打つほどフェルトが強くつぶれて硬くなり、接触が短くなって、高い倍音の強い明るい音になります。
打つ点は、低音から中音で弦長の約 1/8 です。高音では約 1/23 まで弦の端に寄せます[2]。
衝突の計算
- 弦はモードの和で表し、ハンマーが当たる幅 で高いモードへの力を弱める
- ハンマーが弦に当たってから離れるまでを、細かい時間刻みで解く
- 離れたあとの各モードの変位と速度を、以後の自由振動の初期値にする
- 2〜3 本のユニゾンの弦は、1 つのハンマーで同時に打つ
- 衝突の間に駒にかかる力は、そのまま響板へ入れる
- 鍵が底に当たる衝撃(鍵盤の音)は、ハンマーの速さに比例する短い力のパルスとして響板へ入れる
ハンマーと弦の値は、Chaigne・Askenfelt の数値計算で検算しています[12]。
駒でつながる弦
同じ鍵の弦と、近い部分音を持つほかの弦は、同じ駒でつながっています[13]。駒のアドミタンス は、力に対する速度です。弦 の部分音の駒にかかる力 は下の式を満たします。固有値 が、結合したモードの周波数と減衰率になります。減衰率は虚部です。
- 3 本の弦がそろって揺れるモード: 駒を強く揺らして速く減衰する
- 互い違いに揺れるモード: 駒を揺らさず長く残る
この 2 つで、音は二段に減衰します[14]。弦どうしの調律のわずかなずれ[15]と、ハンマーの当たり方のむらが、後に残る音とうなりを生みます。
表板に平行に揺れる水平の偏波は、駒が動きにくいので長く残ります。
ダンパーが上がっている鍵の弦のうち、部分音が近いものは、共鳴する弦として結合に入れます。ほかの鍵の弦は駒の上の位置が違うので、結合を弱めます。共鳴する弦は、打った時刻には止まっていて、駒を通して少しずつ揺れ始めます。モードはそれぞれ成分の最も大きい弦の鍵が持ち、その鍵のダンパーが下りると止まります。打った鍵を離しても、押さえている鍵の弦は自分のモードで鳴り続けます。
響板
響板には、乱数で多数のモードを置きます。モードの間隔と平均のアドミタンスが、板の曲げ剛性 と面密度 から求めた値に合うようにします。 には、響棒で補強した分を含めます。Woodhouse の「統計的な胴」と同じ方法です[16][17]。
響板の最も低いモードは、実測に基づきます[18][19][20]。木材の値は、ピアノの響板に使うスプルースの実測(Berthaut)です[20]。
音の大きさ
音の大きさは、エネルギーの釣り合いで決めます[21]。
- 駒から板へ入るパワー木が失うパワーと釣り合う
- 板にたまるエネルギー損失係数 で決まる
- 音放射効率 の割合
板の損失係数 は、周波数によらず約 2 % です[20]。そのため、高い音ほど板のエネルギーが速く失われ、板にたまるエネルギーが少なくなります。
放射
放射効率は、響棒のある板の 2 つの領域で変わります[17]。
約 1.1〜1.3 kHz より下: 一様な板
板全体が一様な板として振動します。曲げ波は空気中の音より遅く、一致周波数 より下にあります。そのため、正と負に揺れる部分の音が打ち消し合い、縁の近くの音だけが残ります。この放射効率は Maidanik の式で求めます[22][23]。
それより上: 響棒の間の導波路
曲げ波の波長が響棒の間隔 に近づき、振動が響棒の間に閉じ込められて導波路になります[24]。響棒の間隔は約 13 cm です。
導波路の曲げ波は、6〜7 kHz()まで空気中の音より遅いままです。一様な板なら、一致周波数(約 2 kHz)より上の 2〜6 kHz の音は効率よく出るはずですが、この音が弱くなります。
2 つの領域の境目
境目の 1〜2 kHz では、放射が強まります[25][20]。響板の木と響棒が、高い音を和らげるフィルタになっています。
駒の近くからの直接の放射
板じゅうに広がった振動とは別に、駒の近くの板は、押された力に比例する加速度で動いて直接音を出します。一致周波数より下の無限板では、この音圧は周波数によらず、力と面密度で決まります[26]。駒と響棒で動きにくい分は、平均のアドミタンスと同じ割合 で小さくします。
モードの和だけでは、隣り合うモードの音が打ち消し合う周波数に深い谷ができ、基音がそこへ落ちた鍵だけ音が小さくなります。直接の放射は共鳴の山より約 10 dB 小さい音ですが、谷の底を埋めて、鍵ごとの音量のむらを減らします。
高い周波数の計算
モードが重なり合う 1.6 kHz より上は、エネルギーの釣り合いから求めた平均の特性を、最小位相の FIR で表します[27]。モードの和とは、Linkwitz–Riley の分け方でつなぎます[28]。
ダンパー
- 鍵を離したとき: ダンパーが弦に触れ、その鍵の弦のモードに減衰を足す。低音ほど弦が重く、止まるのに時間がかかる[29]
- 最も高い音域: 弦にダンパーがない
- ダンパーペダル: 踏むと、すべてのダンパーが上がる
調律
- 平均律: 第 1 部分音を平均律の周波数にする
- ストレッチ: A3〜A4 を平均律にする
- それより上: 第 1 部分音を、1 オクターブ下の第 2 部分音に合わせる
- それより下: 自分の第 4 部分音を、1 オクターブ上の第 2 部分音に合わせる
ストレッチでは、非調和性で部分音が高くなるぶん、高音が高く、低音が低くなります。Railsback の曲線です[30]。
残響
部屋の残響時間を Eyring の式で求め[31]、16 本の遅延線のフィードバック遅延網で残響を作ります[32]。
- 部屋の容積
- 部屋の表面積
- 平均吸音率
- 空気の吸収[33]
- 等価吸音面積
- 臨界距離。 から求める
- 聴く位置
1 m 先の直接音に対する残響音の大きさは、臨界距離 で決まります。聴く位置 での比は です。全体の大きさは、直接音と残響音のエネルギーの和が 1 m 先の直接音と同じになるようにそろえます。
出力
音は 1 m 先の音圧で、1 Pa を出力のフルスケールとします。計算結果と音の波形は、ステレオにする前の 1 m 先の音圧で、残響を含みません。
スピーカーから出す音だけに、次の処理をします。
- ステレオ: 低音を左、高音を右に少しずらし、響板のモードごとにも左右へ散らす。この定位は聞こえ方の目安で、模型には基づかない
- 残響: 再生の音だけに付ける
- リミッタ: 音量の後ろに入れる。出力がフルスケールを超えそうなときだけ働く
曲を演奏するときの声部の強弱とダンパーペダルの踏みかえは、このツールで自動で付けます。
最後に打った鍵の値
出典
- 硬い弦の周波数N. H. Fletcher, “Normal vibration frequencies of a stiff piano string,” J. Acoust. Soc. Am., vol. 36, no. 1, pp. 203–209, 1964
- 弦の寸法・本数・打つ点J. Engelbrecht, A. Mägi and A. Stulov, “Grand piano manufacturing in Estonia: the problem of piano scaling,” Proc. Estonian Acad. Sci. Eng., vol. 5, no. 2, pp. 155–167, 1999
- 弦の損失の形、空気の粘性C. Valette, “The mechanics of vibrating strings,” in Mechanics of Musical Instruments, Springer, 1995, pp. 115–183
- 弦の損失の形C. Issanchou, S. Bilbao, C. Touzé and O. Doaré, “A modal approach to the numerical simulation of a string vibrating against an obstacle,” Proc. DAFx-16, 2016
- 両端を固定したピアノ線の部分音の減衰。弦の内部損失の値をこれに合わせたK. Ege and A. Chaigne, “End conditions of piano strings,” arXiv:1101.4511, 2011
- ハンマーのフェルトと、鍵盤全体の近似式A. Stulov, “Hysteretic model of the grand piano hammer felt,” J. Acoust. Soc. Am., vol. 97, no. 4, pp. 2577–2585, 1995
- ハンマーのフェルトと、鍵盤全体の近似式A. Stulov, “Experimental and computational studies of piano hammers,” Acta Acustica united with Acustica, vol. 91, no. 6, pp. 1086–1097, 2005
- ハンマーのフェルトと鍵盤全体の近似式の式J. O. Smith, Physical Audio Signal Processing, W3K, 2010
- ハンマーの硬さが打つ弦の太さで変わることA. Stulov and A. Mägi, “Piano hammer testing device,” Proc. Estonian Acad. Sci. Eng., vol. 6, no. 4, pp. 259–267, 2000
- 弦を打ったときのフェルトの圧縮と接触時間の実測。弦 1 本あたりの硬さの補正をこれに合わせた柳沢猛・中村喜十郎「ピアノハンマのフェルトの動圧縮特性」『日本音響学会誌』40 巻 11 号、pp. 725–729、1984
- フェルトの硬さを合わせたピアノの録音(Steinway & Sons model B、mf と ff)University of Iowa Electronic Music Studios, “Musical Instrument Samples: Piano,” 2001, theremin.music.uiowa.edu/MISpiano.html
- ハンマーと弦の値の検算A. Chaigne and A. Askenfelt, “Numerical simulations of piano strings. I/II,” J. Acoust. Soc. Am., vol. 95, no. 2, pp. 1112–1118, no. 3, pp. 1631–1640, 1994
- 駒での結合C. E. Gough, “The theory of string resonances on musical instruments,” Acustica, vol. 49, pp. 124–141, 1981
- ユニゾンの弦の結合と二段減衰G. Weinreich, “Coupled piano strings,” J. Acoust. Soc. Am., vol. 62, no. 6, pp. 1474–1484, 1977
- ユニゾンのずれR. E. Kirk, “Tuning preferences for piano unison groups,” J. Acoust. Soc. Am., vol. 31, no. 12, pp. 1644–1648, 1959
- 統計的なモードJ. Woodhouse, “On the synthesis of guitar plucks,” Acta Acustica united with Acustica, vol. 90, pp. 928–944, 2004
- 統計的なモード、モード密度の縁の補正、響棒の間の導波路と、亜音速の放射が続く周波数X. Boutillon and K. Ege, “Vibroacoustics of the piano soundboard: Reduced models, mobility synthesis, and acoustical radiation regime,” J. Sound Vib., vol. 332, no. 18, pp. 4261–4279, 2013
- 響板の最も低いモードの実測K. Wogram, Das Musikinstrument, 1980
- 響板の最も低いモードの実測P. Miranda Valiente, G. Squicciarini and D. J. Thompson, J. Acoust. Soc. Am., vol. 155, no. 5, pp. 3213–3232, 2024
- 響板の最も低いモードの実測、損失係数 2 %、ピアノの響板のスプルースの値(Berthaut の測定、同論文の表 1)、1.2〜1.5 kHz で放射が強まることK. Ege, X. Boutillon and M. Rébillat, J. Sound Vib., vol. 332, no. 5, pp. 1288–1305, 2013
- エネルギーの釣り合いR. H. Lyon and R. G. DeJong, Theory and Application of Statistical Energy Analysis, 2nd ed., Butterworth-Heinemann, 1995
- 一致周波数より下の平板の放射効率G. Maidanik, “Response of ribbed panels to reverberant acoustic fields,” J. Acoust. Soc. Am., vol. 34, no. 6, pp. 809–826, 1962
- 一致周波数より下の平板の放射効率G. Squicciarini, D. J. Thompson and R. Corradi, “The effect of different combinations of boundary conditions on the average radiation efficiency of rectangular plates,” J. Sound Vib., vol. 333, no. 17, pp. 3931–3948, 2014
- 放射効率の実測、高い周波数で振動が響棒の間に閉じ込められることA. Chaigne, B. Cotté and R. Viggiano, “Dynamical properties of piano soundboards,” J. Acoust. Soc. Am., vol. 133, no. 4, pp. 2456–2466, 2013
- 放射効率の実測H. Suzuki, “Vibration and sound radiation of a piano soundboard,” J. Acoust. Soc. Am., vol. 80, no. 6, pp. 1573–1582, 1986
- 点で押された板が、押した点の近くから放射する音L. Cremer, M. Heckl, and B. A. T. Petersson, Structure-Borne Sound, 3rd ed., Springer, 2005
- ケプストラムによる最小位相の FIRA. V. Oppenheim and R. W. Schafer, Discrete-Time Signal Processing, 3rd ed., Pearson, 2010
- 2 つの経路の分け方S. H. Linkwitz, “Active crossover networks for noncoincident drivers,” J. Audio Eng. Soc., vol. 24, no. 1, pp. 2–8, 1976
- ダンパーで止まる時間H.-M. Lehtonen, A. Askenfelt and V. Välimäki, “Analysis of the part-pedaling effect in the piano,” J. Acoust. Soc. Am., vol. 126, no. 2, pp. EL49–EL54, 2009
- ストレッチ調律O. L. Railsback, “Scale temperament as applied to piano tuning,” J. Acoust. Soc. Am., vol. 9, p. 274, 1938
- 残響時間C. F. Eyring, “Reverberation time in ‘dead’ rooms,” J. Acoust. Soc. Am., vol. 1, no. 2A, pp. 217–241, 1930
- 残響J.-M. Jot and A. Chaigne, “Digital delay networks for designing artificial reverberators,” AES 90th Convention, Preprint 3030, 1991
- 空気の吸収の値ISO 9613-1
このツールで決めたこと
次の値は、このツールで選んだ概数です。
- 弦長の上限と響板の面積
- 響板の平均のアドミタンスと、駒の位置による違い
- 響棒の間隔(13 cm)と、導波路の領域へ移る周波数
- 放射の大きさの係数。中音の大きさを、エネルギーの釣り合いを入れる前の模型にそろえた
- エゾマツの値
- 水平の偏波の値
- ハンマーの当たり方のむら
- ダンパーの減衰の延ばし方
- 鍵盤の音の大きさ
- 共鳴の結合の弱まり
- 部屋の寸法と吸音率
楽譜の出典
前奏曲 ハ長調 BWV 846 J. S. バッハ「平均律クラヴィーア曲集 第 1 巻」より
音符は、Mutopia Project の楽譜の MIDI から変換しました。
- 入力: Shay Rojansky
- 編集: Han-Wen Nienhuys・Tobias Erbsland
- 楽譜の番号: Mutopia-2011/09/12-5
- ライセンス: パブリックドメイン
- 標準のテンポ: ♩ = 66
ジムノペディ 第 1〜3 番 E. サティ「3 つのジムノペディ」
音符とベロシティは、Mutopia Project の楽譜(第 1 番・第 2 番・第 3 番)の MIDI から変換しました。第 1 番は反復を展開しています。
- 入力: Evin Robertson
- 底本: Dover Edition
- 楽譜の番号: Mutopia-2014/12/14-37・Mutopia-2012/12/23-38・Mutopia-2012/12/23-39
- ライセンス: パブリックドメイン
- 標準のテンポ:
- 第 1 番: Lent et douloureux(♩ = 72)
- 第 2 番: Lent et triste(♩ = 69)
- 第 3 番: Lent et grave(♩ = 66)
グノシエンヌ 第 1〜3 番 E. サティ
音符は、Mutopia Project の楽譜(第 1 番・第 2 番・第 3 番)の MIDI から変換しました。
- 入力: 第 1 番は Knute Snortum。第 2・3 番は Frédéric Duperray
- 底本: 第 1 番は Editions Salabert, Paris, 1913。第 2・3 番は Rouart, Lerolle & Cie., Paris, 1913
- 楽譜の番号: Mutopia-2015/07/23-2035・Mutopia-2016/08/17-2130・Mutopia-2016/08/17-2131
- 標準のテンポ:
- 第 1 番: Lent(♩ = 84)
- 第 2 番: Avec étonnement(♩ = 80)
- 第 3 番: Lent(♩ = 72)
原作のライセンスは クリエイティブ・コモンズ 表示 - 継承 4.0(CC BY-SA 4.0)で、元の MIDI と、そこから作った音符のデータ(src/tools/piano/scores の gnossienne1〜3)も同じライセンスで公開します。
楽譜に小節線はありません。演奏の枠の小節の数は、楽譜のデータが音符を並べるのに使う拍子(第 1・3 番は 4/4、第 2 番は 12/8)で数えたものです。
ピアノ・ソナタ第 14 番 嬰ハ短調 Op. 27 No. 2「月光」第 1〜3 楽章 L. v. ベートーヴェン
音符は、Mutopia Project の楽譜の MIDI から変換し、反復を展開しました。
- 入力: Stewart Holmes。第 3 楽章は Chris Sawer と Stewart Holmes
- 底本: Berners, 1908(A. Winterberger 編)
- 楽譜の番号: Mutopia-2007/02/11-276
- 標準のテンポ:
- 第 1 楽章: Adagio sostenuto(𝅗𝅥 = 27)
- 第 2 楽章: Allegretto(♩ = 150)
- 第 3 楽章: Presto agitato(♩ = 168。MIDI に付けたテンポの変化に従う)
原作のライセンスは クリエイティブ・コモンズ 表示 - 継承 2.5(CC BY-SA 2.5)で、元の MIDI と、そこから作った音符のデータ(src/tools/piano/scores の moonlight1〜3)も同じライセンスで公開します。
MIDI から変換したあと、次のところを楽譜に合わせて直しています。
- 第 1 楽章: MIDI で落ちていた 3 連符の 2 音を、楽譜のとおりに戻した。小節 9 と 46 の E4 で、旋律の同じ高さの音と重なる
- 第 3 楽章: MIDI で崩れていた終わり近くのカデンツァを楽譜の音の並びで組み直し、それ以降の右手の遅れを直した。反復を展開して直した MIDI を元のデータにし、ベロシティとテンポの変化を MIDI の編集で付けた(ベロシティの下地は楽譜の強弱記号)。カデンツァのトリルは 64 分音符に書き下した
幻想即興曲・ラ・カンパネラ・水の戯れ F. ショパン・F. リスト・M. ラヴェル
音符・テンポの変化・ベロシティは、MuseScore で CC0 として公開された楽譜(幻想即興曲・ラ・カンパネラ・水の戯れ)の MIDI から変換しました。MIDI は、MuseScore の CC0 とパブリックドメインの楽譜を集めたデータセット PDMX(Long ほか 2024)に収録されたものです。
- 作成: venson72150
- 曲: 幻想即興曲 嬰ハ短調 Op. 66、パガニーニによる大練習曲 S. 141 第 3 番 嬰ト短調「ラ・カンパネラ」、水の戯れ M. 30
- ライセンス: CC0 1.0(このツールの音符のデータも CC0)
- 標準のテンポ:
- 幻想即興曲: Allegro agitato(♩ = 162。楽譜のデータのテンポの変化に従う)
- ラ・カンパネラ: Allegretto(♩ = 108。楽譜のデータのテンポの変化に従う)
- 水の戯れ: Très doux(♩ = 72。楽譜のデータのテンポの変化に従う)
テンポの変化とベロシティは楽譜の作成者が付けたもので、そのまま演奏に使います。MIDI のペダルは使わず、このツールの自動のペダルで踏みかえます。
アラベスク 第 1 番 C. ドビュッシー「2 つのアラベスク」より
音符・テンポの変化・ベロシティは、MuseScore で CC0 として公開された楽譜の MIDI(PDMX に収録されたもの)から変換しました。テンポの変化とベロシティは楽譜の作成者が付けたもので、ペダルはこのツールの自動のペダルで踏みかえます。
- 作成: The Transcriber
- 曲: 2 つのアラベスク L. 66 第 1 番 ホ長調
- ライセンス: CC0 1.0(このツールの音符のデータも CC0)
- 標準のテンポ: Andantino con moto(♩ = 120。楽譜のデータのテンポの変化に従う)
小節 38 から 39 へのタイ(E5)は、楽譜(Durand 1904)のとおり 1 音にしています。
シャコンヌ(ブゾーニ編) J. S. バッハ「無伴奏ヴァイオリンのためのパルティータ 第 2 番」BWV 1004 より、F. ブゾーニ編曲
音符とベロシティは、IMSLP で公開された MIDI(ファイル #173118)から変換しました。IMSLP の説明では、ブゾーニ自身が演奏して記録した Duo-Art のピアノロールから起こしたものです。
- 作成: Hammondmania(2012)
- ライセンス: クリエイティブ・コモンズ 表示 3.0(CC BY 3.0)
- 標準のテンポ: ブゾーニの演奏のとおり(ピアノロールの記録。小節は楽譜と合わない)
元の MIDI と、そこから作った音符のデータ(src/tools/piano/scores の busoni-chaconne)も CC BY 3.0 で公開します。演奏の記録なので、演奏の枠の小節は楽譜の小節と合いません(2 秒ごとに区切っています)。譜表の分かれていない MIDI なので、C4 から上を右手、下を左手として声部の強弱を付けます。ダンパーペダルは、「自動」のときロールの記録(MIDI の CC64)のとおりに踏みます。
このツールで付けたもの
声部ごとの強弱とダンパーペダルの踏みかえは、このツールで付けています(ブゾーニ編のシャコンヌのペダルはロールの記録)。終わりや Adagio の部分のテンポの変化も、Mutopia の曲ではこのツールで付けています(月光 第 3 楽章は MIDI に入れました)。
MIDI のベロシティは、ジムノペディ・月光 第 3 楽章と、MuseScore とピアノロールの曲で使っています。ジムノペディと月光 第 3 楽章は楽譜の強弱記号と松葉から機械的に付けた値です。どの曲も、強弱の幅を縮めて打鍵の速さにします。ほかの Mutopia の曲の MIDI は、すべての音が同じベロシティです。